どうだ、驚いたか!!
酔っ払ったおじさんたちは、こんなにすごいんだぞ!
勢いづいちゃったオッサンたちは、こんなことまで形にしちゃうんだぞ!!!
どうだ、どうだ〜!!!
と、自慢したい。
そして、われわれサルシカ隊は何をめざし、どこへ向っているのかと、憂いてみたい(笑)。
だってね。
昨年は、「サルT」と称して、三重県のローカルブランドTシャツをどかどかと作り、各お店やらイベントで販売した。
そしてあまり大げさに公開していないけれど、サルシカのお米を使ったビールを醸造し、実は昨年末の餅つき大会で試飲会もあり、見事に公表を得たもんだからわれわれは調子に乗って「サルB」として販売するのだ〜、という計画も進んでいる。
そんな中、もうひとつの計画が進んでいたのである。
実はこの計画の話は、昨年11月に「サルP〜極秘プロジェクト始動〜」と題して、思わせぶりに紹介している。
あれは、この企画のためのまじめな会議だったのだ。
キムチ鍋をつついてビールを飲んじゃったし、熱燗もいただいちゃったし、ちょっと鼻笛を吹いたりもしたけれど、実は実はまじめにこの計画を検討していたのだ。
だってね。
大工のT橋さんと鼻笛大工の池山さんがいて、車屋のキヨちゃん副隊長とサーキット勤務のケロリンがいて、そして材木を扱っている中谷のおとうちゃんがいたのである。
そのメンバーの共通項といえば、そう!! キャンピングカーであったのだ。
われわれは酔いつつも図面を描き、イメージをふくらませた。
そして盛り上がった。
が、途中で、大工のT橋がそれを遮ったのだ。
「もう机上の空論はやめましょう! とりあえずボクがつくりますから!」
「いや、でもさ、方向性とかいろいろ考えないと・・・」と隊長らしい発言をするワタクシ。
が、T橋はさも面倒臭そうに、しかも酔って眠そうな目をこすりながら、
「とやかく言われると逆につくりにくいんで、とにかく好き勝手つくらせてください。文句はあとで聞きますから」
と言い切って、さっさと寝袋に入って眠ってしまったのだ。
T橋の友人であり、もろもろの先輩である鼻笛大工の池山さんは、寝息を立てはじめたT橋を見て笑いながら、
「つくりたくなっちゃったんだよ。もう火が着いちゃったんだな。こうなったら大工はつくるしかないからね〜。
まあ、まず何か形になってた方がアイデアも出やすいし、まずはT橋さんにつくってもらいましょうよ」
まあつくってくれるのだから文句はないが、あれこれ夢をふくらませるのが楽しいのではないか。
仕方ないなあ、というわけで、そのまま池山さんがギターをはじめ、中谷のおとうちゃんが鼻笛をピーポーするいつもの宴会になっちゃったのである(笑)。
それから年の瀬を迎え、みんな仕事に追われ、業務と締め切りの泥沼をまさにかきわけて進むような日々を過ごした。
その中で、われわれはサルシカのキャンピングカーのことなどすっかり忘れていた。
が、大工のT橋さんは違ったのだ。
仕事を終えた深夜、また週末の時間を利用して、ひとりコツコツとキャンピングカーの原型をつくっていたのだ。
ちなみにわれわれがつくるものは、
「ピックアップキャビン」
と呼ばれるものだ。
トラックの後ろに載せるキャンピングキャビン。
しかも、リッチなアウトドアメンしか買えないようなものではない!!
ちょっとがんばれば誰にでも手が届くもの。
そう、軽トラのピックアップキャビンをつくろうということであったのだ!!
サルシカがつくるピックアップキャビン。
略して「Sal-P」(サルピー)である!!!
そして年が明けて2014年1月のある日。
大工のT橋から電話が入った。
「隊長、とりあえずフレームというかボディの原型のようなものは出来たので、一度隊長の軽トラに乗せてみたいのですが・・・・」
おおおおおおお!!
なんということだ!!
われわれの夢は知らないところで育ち、着実に形になっておったのだ。
「わかった、いく!!
いますぐいく!!!」
隊長のワタクシは、いくつもの用事をほっぽり出し、大工のT橋の工房へと向かったのであった。
「おおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」
もう今回は叫んでばかりなのだ(笑)
しかし、T橋さんの工房に静かにたたずむ木製ピックアップキャビンを見たら、声をあげずにはいられなかった。
木のボディのまんまで、まだ窓もドアも入っておらず、屋根もない状態だが、それは紛うことなきピックアップキャビン!!
小さくてかわいい、ああ、もうたまらないのだ!!!
「じゃ、さっそく隊長の軽トラに乗せましょう」
もう大工のT橋は1秒たりとも待ってくれないのだ。
すぐ乗せたい、すぐ見たい、すぐ完成させたい、の超せっかち人間となっていたのだ。
薪を運び終えたばかりのワタクシの軽トラを見て、
「あああああ、何ですか、この汚い荷台は!!
大切なピックアップキャビンが傷ついてしまうではないですか!!
ああ、もう掃除、掃除!!
ほら隊長もホーキを持って、はいはいはい!!!」
もううるさくてたまらないのである。
今回の「Sal-P(サルピー)」のお約束ごと。
1.田舎暮らしの必需品である軽トラを利用するものであること。
2.金額は、おとうちゃんが1年間こずかいを貯めたら買える金額にすること。
3.おとな2人でセットアップ可能なものだること。
この3つが大きな条件であった。
が、ワタクシの軽トラにピックアップキャビンを載せようと、大工のT橋とワタクシが持ち上げようとしても、全然持ち上がらないのだ。
大工のT橋のところの若いスタッフ2人に手伝ってもらって・・・つまり4人でようやく持ちあげることができたのだ。
「ちょっと丈夫につくりすぎましたかねぇ・・・ちょっと重いですよねぇ」
全然ちょっとではない。
しかも。
「原材料も予定の2倍ちかくかかってます。ちょっとオーバーしすぎですよねぇ」
全然ちょっとではない。
軽トラに載せることは出来たが、それ以外は全然目標を達成していないのだ。
とはいえ、軽トラに収まったピックアップキャビンはすばらしいのだ!!
車屋のキヨちゃんに寸法を出してもらったので、寸分たがわず、ぴったりと軽トラの荷台に収まる。
まだまだこれから細部を詰めていかねばならぬが、基本線はOKなのだ。
重さと値段の話も次回から検討していくことにしよう。
今回はここまでやったことを、褒めよう。
えらいぞ、T橋!!!
「あははは、そうですか、ボク結構やるでしょ、もうね、あははは、ボクはね、いひひひ、えへへへ、あははは」
かつて寡黙な大工として有名であったT橋には、その面影すらないのである(笑)。
まだ屋根はない。
屋根にはアルミ板を使う予定である。
ボディには板を貼る予定である。
木目でかっこ良く決めるつもりである。
「じゃ、T橋さん、記念写真を撮ろうか」
ワタクシがそう要求すると、頼んでもいないのに荷台にのって、何もないあさっての方向を目を細めつつ見るのだ。
「いやあ、ここまで作るのに苦労をしましたよ・・・」
ナニ言ってんだバカ、と思いつつ、えらいえらい、T橋えらい、と褒め称える。
彼は褒めれば伸びるタイプなのだ。
「仕方ないなあ、もういっちょがんばりますか」
大工のT橋の挑戦はまだまだ続くのである。
今後、「Sal-P(サルピー)」は、試作を重ねて完成品をつくりあげ、それを販売する予定である。
ひょっとするとキット販売になるかも知れない。
思い切って幕張などで行われているキャンピングカーショーに出展しようという話にもなっている。
冗談ではない。
われわれは本気でやるのだ(笑)。